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IlluminatedFocus: 焦点ボケを空間制御する視覚拡張メガネ

人があるモノに注視するとき、注視したモノはシャープに見え、それ以外の目からの距離の異なるモノはボケて見えます。逆に、あるモノのみシャープにみせ、他をぼかしたら、人はそのモノに誘目されます。私達は、実環境の特定のモノのみボケさせることのできるメガネを開発し、人の視覚を拡張する試みを行いました。具体的には、焦点距離を電流制御によって高速に変調できるETL (電気式可変焦点レンズ) をメガネとして、高速プロジェクタを環境照明として利用します。ETLの焦点距離を高速(60 Hz以上) に周期変調させて、焦点の合う位置 (合焦位置) を前後に振動させます (焦点スイープ)。そして、シャープに見せたいものには、そのものが合焦したときにプロジェクタから光をあて、ボケて見せたいものには、そのものが合焦しなくなったときに光をあてます。この処理が高速に行われると、パラパラ漫画 (アニメ) と同じ原理で、焦点の変調とプロジェクタからの照明はチラつかず、特定の物のみボケているように知覚されます。この研究では、この装置におけるボケ量を数式モデル化し、任意の距離にあるものをボケさせるための枠組みを構築しました。この技術の応用例として、博物館・教育現場で特定の物に人の注目を誘導することを想定した視覚ガイダンス、仕事・勉学で特定の領域以外をボケさせて作業のじゃまになるものを知覚的に排除する視覚隠蔽、顔のシワやシミを消す美容応用などを実装しました。また、被験者実験を通して、従来の拡張現実 (AR: Augmented Reality) でよく用いられる情報付加 (注目させたいものに矢印を表示するような提示方法) のアプローチと比べて、提案手法がユーザビリティの観点から優れていることを確認しました。


(a) 提案するIlluminatedFocusシステム。電気式可変焦点レンズと高速プロジェクタから構成される。(b) システムの動作検証。(b-1) 実験セットアップ。4つの物体 (A, B, C, D) がプロジェクタとレンズの前に置かれている。カメラは人の目の代理として利用。(b-2, b-3, b-4) 異なるタイミングでプロジェクタから照明された物体を、焦点距離が周期変調されたカメラによって撮影。黄色矢印で示されているように、シャープに見える物体 (A, C, D) はそれらが合焦したときに照明され、ボケて見える物体 (B) は、焦点が外れたときに照明されている。(b-5) 人の臨界融合周波数 (60 Hz) を超えて焦点変調がおこなわれると、これらの画像の積分されたものが知覚され、物体Bのみがボケたように知覚される。これによって、通常のレンズ系では起こり得ないような焦点ボケ表現が可能になる。なお、(b-2) から (b-5) の輝度は可視性向上のため輝度補正している。

Publications

  • Tatsuyuki Ueda, Daisuke Iwai, Takefumi Hiraki, and Kosuke Sato, "IlluminatedFocus: Vision Augmentation using Spatial Defocusing via Focal Sweep Eyeglasses and High-Speed Projection," IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (Proceedings of IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces), 2020. [preprint (arxiv.org)]
  • Tatsuyuki Ueda, Daisuke Iwai, and Kosuke Sato, "IlluminatedFocus: Vision Augmentation using Spatial Defocusing," In Proceedings of ACM SIGGRAPH Asia Emerging Technologies, pp. 21-22, 2019. [pdf]