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高ダイナミックレンジ投影

我々は、反射型画像変調により、シンプルかつ安価な静止画HDRディスプレイを実現した。提案システムでは、ハードコピー(写真、X線プリント、電子ペーパー等)にプロジェクタより画像を投影重畳して画像を表示することで、ハードコピーのみ(環境光下で観察)やプロジェクタのみ(通常のスクリーンに投影)での画像表示に比べて、コントラスト、知覚可能な階調数、そして色空間を増大させることができる。我々は、既存のHDRディスプレイ技術と競合することを意図してはおらず、むしろ、「誰にでも手軽に実現できる」HDRディスプレイの実現手法を、ハイコントラストな静止画が必要とされる領域(放射線画像診断や他の医療分野、色褪せた文化財の復元、宇宙工学等)において提供することが目的である。更に、電子ペーパーを用いることで、静止画だけではなく、インタラクティブなHDR動画の表示も可能である。

実験より、提案システムは、45,000:1以上のコントラスト比と最大輝度値2,750[cd/m^2]を実現し、技術的に再現可能な知覚可能階調数が620(原理的に実現可能なJND数の約85%)であることが確認できた。更に、通常のプロジェクタと比べて1.4倍、通常のハードコピー印刷と比べて3.3倍の色空間の拡張が可能であることが確認できた。提案システムでは、輝度値と色空間が0.3mm以下の位置合わせ精度で投影画像が数千DPIもしくは数百LPIの空間解像度をもつハードコピー上で変調される。これにより、提案システムは、他の既存のHDRディスプレイでは実現されなかった高いコントラスト周波数(表示面から近距離の視点(50cm)から計算して7[cpd])を可能としている。

短い露光時間(上段)と長い露光時間(下段)で撮影された投影光重畳画像
投影対象;(左から)X線プリント、電子ペーパー、印刷紙、写真

(左から右へ)トーンマッピングされたHDRオリジナル画像、同画像の写真の環境光下での輝度値マップ、同画像の白色スクリーンへの投影画像の輝度値マップ、HDRオリジナル画像を写真用・プロジェクタ用に分離し投影重畳した表示画像の輝度値マップ(コントラストが100-1000倍に増大されている)

システム外観

我々はプロトタイプシステムで、医療画像データ(肺の白黒のCR画像とCT画像)を表示し、10名のプロの放射線技師にその画質を評価してもらった。被験者はそれぞれ異なる医療機関に勤めており、それぞれ別々にヒアリングを行った。評価実験では、被験者に、提案するシステムと、従来のX線フィルムや高コントラスト医療用モニタとの画質を比較してもらった。その結果、以下にに示すグラフに示されているように、プロの技師の主観評価によると、我々の提案するシステムは全ての比較項目(コントラスト、明るさ、知覚可能な階調数、空間解像度)において優れていると評価された。

(左)環境光下での印刷された肺のCR画像:
コントラスト比 <100:1、最大輝度値 <100[cd/m^2]、知覚可能な階調数 <150
(右)投影光により変調された印刷画像:
コントラスト比 >45,000:1、最大輝度値 >3,000[cd/m^2]、知覚可能な階調数 >620

プロの放射線技師による主観評価結果
(Study carried out at the German Radiology Congress 2008 in Berlin)

Publications

  • Oliver Bimber and Daisuke Iwai, "Superimposing Dynamic Range", ACM Transactions on Graphics, vol.27, no.5, pp.150:1-150:8, 2008. (Proceedings of SIGGRAPH ASIA)
  • Oliver Bimber and Daisuke iwai, "Superimposing Dynamic Range", In Proceedings of SIGGRAPH 2008 New Tech Demo (DVD), p.36, 2008.[poster]

Links

  • 共同研究先:Bauhaus-Universität Weimar, Germany [HP]